石本りょうぞうブログ

炭鉱再開
 今朝朝日新聞を見て、大変驚きと同時に嬉しい記事が出ていた。北海道の美唄市で三井鉱山が炭鉱を再開発するというニュースだ。
 私は以前峰崎直樹参議院議員の秘書を務めていたが、峰崎議員が北海道選出と言う事もあり、石炭政策について本などを読んだり、北海道行った際には炭鉱で働いていた人たちとも話を聞かせてもらう機会があった。

 今でも覚えているのは2001年に峰崎議員の秘書になった当初の事だった。石油が当たり前の今日、石炭はすでに日本ではほとんど使われていない、いわば「博物館」入りした過去のエネルギーだと思っていた。しかし経済産業省の資料を見て日本が世界最大の石炭輸入国になっているという事実だった。火力発電では今も多くの石炭が使用され、今では日本は年間1億5世万トン以上の輸入している。
 では「国内の石炭はどうなったのか?」とふと疑問が沸き始めたのがまさに石炭に関心を持ったきっかけだった。ちょうどその頃日本で最後の炭鉱である釧路の太平洋炭鉱の閉山が2002年の1月一杯に迫っている時だった。
 日本の石炭政策は明治に入って本格化する。明治政府が確か明治6年だったと思うが、ライマンという鉱物学者に北海道に眠っている石炭の埋蔵量を調査させている。その時の調査結果では北海道だけで1500億トン以上のそれも良質な石炭が埋蔵されていると言う結果だった。要するに1000年以上の分の石炭が北海道だけにある計算になる。それから北海道と九州を中心に炭鉱が開発され、戦前には5000万トン以上の採掘をするまでになる。
 戦争で炭鉱夫が戦争に徴兵されたり、また採掘に必要な鉄の不足により、日本の石炭採掘量はピーク時の半分以下になる。
 戦後になり傾斜生産方式で政府は石炭増量をエネルギー政策の柱に置く。まず優先的に鉄を石炭業界に流し、また鉄鋼業界も火力を必要とすることから石炭を必要とする。そのため増産された石炭を優先的に鉄鋼業界に流し、そこで増産された鉄を石炭業界に優先的に流してまた増産を図っていった。その繰り返しで戦後の日本の復興に石炭は大きな役割を果たしてきた。
 その後石炭から石油へのエネルギー革命が起き、1960年には戦後3大労働争議である三井三池闘争が起きる。その後石炭の採掘量は5000万トンから2000万トンまで減少するが、昭和48年のオイルショックで再び石炭が再評価される時が来る。俗に言う「石炭2000万t体制」が日本のエネルギー政策の一つとなる。しかし昭和50年代に入り炭鉱の落盤事故が多発し社会問題となるが、石炭業界に決定的な出来事は昭和60年のプラザ合意だった。この合意で1ドルが240円台から120円台になり、国内炭の価格はオーストラリア産などの海外炭との価格は3倍まで開くことになった。よく考えれば海外炭の多くは露天掘りに対し国内炭は地中深くまで採掘をしていくのでコストも大きく異なっていた。
 結局その後日本の炭鉱は続々と閉山になり平成4年に最終的な結論を政府が出す。その内容は10年間で日本の炭鉱を閉山していくものだった。その結果を受け平成14年に釧路の太平洋炭鉱が閉山となった。平成4年の時に審議会などでは国民1人当たり300円の負担をすれば太平洋炭鉱と、九州の池島炭鉱は残す事ができるという意見もあったようだ。今ではベトナムなどの炭鉱夫などに技術を教えるために本当に細々と採掘をしているに過ぎなく事実上日本の炭鉱は終焉した状態になっていた。

 そうした時に今日のニュースだった。結局中国の需要の増加などと原油高による輸送コストの上昇が今回の炭鉱復活の要因のようだ。
 しかし、日本人はなぜ歴史から学ばないのかと不思議に思う。太平洋戦争の時も陸軍や海軍はアメリカに戦争を仕掛けても南方の植民地から石油などを輸送すればいいと考えていた。しかし現実には少なからずの輸送船がアメリカの潜水艦などに沈没させられていた。
 今回の話もよく似ている。結局エネルギーと食糧は安全保障の面でも大きな要素であり、自国である程度賄うのは必要不可欠だろう。こうした事をきちんと把握していれば、国民にも説得力のある説明ができたはずだが、結局目先の事に捉われ閉山したが、最後は再開すると事になったわけだ。
 それだけでない。一昨年破綻した夕張市も石炭政策に振り回された自治体だ。国のエネルギー政策の転換により「石炭から観光へ」と自治体の運営の方針を変更し、今では夕張市民だけでなく交付税措置なども考えると国民全体に負担は及んでいる。その他の産炭地の自治体でも閉山がきっかけで地域の職場が無くなった事で過疎化が進み、国と地方の格差の問題となっている。特に産炭地の場合、落盤事故などのいざという時の為や塵肺患者などの対策のために公立病院を持っている自治体が多い。この公立病院の赤字問題がいまでは新たな問題も引き起こしている。
 今から考えると石炭を残すコストと、残さなかったコストどちらが高くついたのか分からないのは私だけだろうか?
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